今回は、2012年にSBCに入社し、湘南美容クリニック千葉センシティ院にて副主任として活躍されている鈴木さんにお話をお聞きしました。
SBC全体の看護師レベルを上げたいという想いから、外科マイスターへ挑戦
鈴木さんは現在役職業務をおこなう傍らで、外科マイスターとしても活動されていると伺いました。
今は湘南美容クリニック千葉センシティ院にて副主任の業務をおこないながら、外科マイスター(※)として所属エリアのチェッカー育成・管理にも携わっています。
チェッカーとは、SBCで働くすべてのスタッフがマニュアルやルールに沿った施術ができるようになるよう指導を行うポジションなのですが、マイスターはそのチェッカーの育成を行います。少しわかりづらいですが、技術指導を行うスタッフの指導者というイメージですね。
現在は所属している千葉センシティ院を含む千葉エリア4院を担当しており、各クリニックを巡院して主に外科に関する課題の解決を行っています。
外科に関する課題、というのは具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?
クリニックごとに抱えている課題は異なります。たとえば、医師からはスタッフとの関わり方に関する相談を受けたり、役職者からはスタッフの配置やポジションに関する相談を受けることもあります。
相談を受けた後は、課題解決に向けたアクションプランを練り、勉強会の実施や業務整理を行うことで、よりスタッフが活躍できるような環境づくりを行っていきます。
マイスターはチェッカー育成だけではなく、医師や役職者からの相談に乗ることもあるのですね。
その他にも、外科部門の目標や全社通達事項をクリニックに浸透させることも私の重要な仕事の一つです。
現在外科マイスターは、SBC全体の中で20人ほどしかいないこともあり、割と幅広いミッションを担っているポジションだと思います。
SBC全体で20人!?少数精鋭なのですね。外科マイスターになるためには試験などが必要なのですか?
外科マイスターになるためには上司からの推薦や社内資格の取得に加え、約1年間の準備期間が必須です。
この準備期間では、チェッカーの育成や勉強会の実施などに取り組むのですが、クリニックの課題と向き合い、課題に対するアクションプランを都度立てていかなければなりません。さらに、立てたアクションプランや勉強会の様子を録画し評価してもらうことで、やっと外科マイスターとして活動できるようになります。
私はもともと、チェッカーのポジションで所属院のスタッフの技術指導を行っていたのですが、スタッフの指導を行う中でもう少しスタッフの技術知識のレベルを上げたいと思い始めました。
もちろん、チェッカーとして所属しているクリニックのスタッフの技術を上げることはできます。しかし、それではSBC全体の技術の底上げにはなりません。一般スタッフの技術指導を行うチェッカー全体のスキルを上げる必要があり、そのためにはマイスターにならなければいけないと思いました。
所属院以外のスタッフの技術底上げのために、外科マイスターを目指されたのですね。
はい、1年間の準備期間を経て2023年1月にやっと外科マイスターに認定されました。
活動をはじめて9か月ほど経過しましたが、複数のクリニックを見ることで日々新たな発見がありますよ。通常はマネジャーでなければクリニックの巡院はできないので、貴重な経験をさせていただいています。
クリニックによってオペレーションの違いがあり、それぞれの良いところを他のクリニックで活かせるようになった点は大きいですね。日々やりがいを感じながら活動しています。
役職や外科マイスターとして幅広く活躍されていますが、お客様への施術を行うことはないのでしょうか?
いえ、昔と比べればお客様と関わる時間は減りましたが、今でもお客様のご案内やお見送り、オペの介助に入ることもありますよ。幅広い業務を担っていますが、お客様対応は変わらずずっと好きですね。お客様とお話している時間がとても楽しいんです。
今では経験の長さからさまざまな場面で判断を任されることが増えましたが、『お客様ファースト』が私の判断の軸になっています。後輩たちが判断に迷っているときにも、お客様ファーストで考えて欲しいと常に伝えるようにしています。
※SBCの外科部門において、医療知識、技術、接遇力を兼ね備えた美容スペシャリストのこと。
猛反対を受けながらもSBCへ転職。やらない後悔よりも、やった後悔を選びたい
鈴木さんはSBCに入社する前は、病棟で勤務されてたのですか?
SBCに入る前は、病棟の脳外科で勤務していました。看護師として働く中で美容看護師という道があることを知り、幼いころからファッションや美容が大好きだったので興味を持ち始めたんです。
さらに、当時はオペ室で働きたいという想いが強く異動希望を出していたのですが、なかなか叶わなくて……。そこで『美容医療の現場であれば、昔から好きだった美容と行きたいオペ室への道のどちらも叶えることができるのでは?』と思い転職を決意しました。
しかし、美容クリニックに転職すると伝えたところ、勤務先からも家族からも猛反対を受けました(笑)。
病棟から美容クリニックへの転職は、反対を受けることもあると聞きます…。
今ほど美容クリニックも存在しておらず、得られる情報量が少なかったんですよね。さらに、当時は認定看護師の資格取得をめざして欲しい、と周りから言われており、有難いことに期待していただいていたのだと思います。
得られる情報が少ない中でも、SBCの採用サイトには教育制度がしっかりしていると書かれていたので、未経験でも安心かなと思って周りの反対を押し切りSBCへの入社を決めました。やらない後悔よりも、やった後悔の方の方が絶対にいいと思ったんです。
SBC入社後は、希望していたオペ介助に携わることは出来たのでしょうか?
はい、やはり元々興味があった分野なので、オペ介助に入れてとても嬉しかったことを覚えています。もちろん今でも好きな業務の一つ。看護において解剖生理は基本なので、病棟にいたときからずっと深めたいと思っていたんです。
とはいえ、イチからの知識・技術習得だったため、学習面では苦戦もしました。とにかく覚えることが多く、同じころに入社した同僚と切磋琢磨しながら乗り越えましたが、同僚の存在がなければ挫けていたかもしれません……。
今は、研修用の動画やマニュアルが揃っているので新人スタッフはそれを見ながら学習できますが、当時そんなものはありません。他院でオペ介助の研修に参加する前に、オペで使う器具やオペ手順をFAXで送ってもらい、FAXを見ながら器具や手順を覚えてオペに入るということも。今では考えられないですよね(笑)。
SBCにもそんな時代があったのですね。学習面以外で病棟と美容クリニックの違いを感じることはありましたか?
前職で対応していたのは、脳機能障がいの方や意識のない患者さんがメイン。そのため、業務上で患者さんとコミュニケーションを取ることはあまり多くありませんでした。一方、SBCに来院されるのは健康なお客様ですから、患者さんからお客様対応に変わったことに若干のギャップを感じましたね。
とはいえ、今ほど接遇の考え方は重視されておらず、入社直後よりは会社全体が接遇に力を入れ始めたタイミングの方が、接客面では苦戦したかもしれません。
私もSBC歴が長くなってきたので、企業の考え方も少しずつ変化してきていると感じていますね。SBCは本当に変化が多い会社で、時には変化についていけず苦労することもあります。
しかし、常に時勢に合わせて判断し、方向転換を行うことが会社の成長につながっているんだと感じますね。相川代表が一代でここまで会社を大きくしたこと、おこがましいですが本当に尊敬しているんです。
尊敬している相川代表が率いるSBCだからこそ私もついていこう、この会社で頑張ろうと思えます。
スタッフに考える力を養ってほしい――「自律性」を高めるための教育指導
副主任としても活躍されている鈴木さんですが、印象に残っているエピソードはありますか?
副主任の業務の中でもスタッフ面談はとても大切な業務なのですが、最近印象的な出来事がありました。
突然『もう今日で辞めます、明日から来ません』と伝えてきたスタッフがいたんです。慌てて面談して、辞めようと思った理由や今の悩みをすべて聞きました。
経験年数が少ないスタッフは、自分の中で答えを出してしまうこともあります。そのスタッフも誤解していた部分があったため、物事の背景や理由を説明して納得してもらうところから始めました。その上で、私が解決できそうなことは持ち帰るので、もう一度考えてみて欲しいと伝えたんです。
スタッフの悩みに真摯に向き合われたのですね。その後は何か変化があったのでしょうか?
彼女が話していた悩みは、確かにクリニックの課題の一つだと感じました。そこで、役職スタッフとのMTGで改善できないかどうか話し合い、オペレーションの改善を行ったんです。悩みの種は職種間のコミュニケーションに関するもので、私たちでも解決できるものでしたから。
その結果を受けて、辞めようとしていたスタッフは『こんなにいちスタッフの意見を取り入れてくれる職場はない』と、退職の意思を取り消してくれました。私ができる範囲で、スタッフが働きやすい環境にしていくことは今後も続けていきたいですね。
課題に対してすぐに行動される姿勢が素敵です!スタッフ指導の中で大切にしていることはありますか?
スタッフそれぞれの『自律性』を大切にしていますね。自分で考える力を養ってほしいんです。そのためにも、自ら考えて実行してもらうことを重視しています。
自ら考える機会を提供することで、スタッフは驚くほど成長していきますよ。質問の仕方がとくに顕著で、『どうしたらいいですか?』という聞き方から、『こう思うのですが、取り組んでみてもいいですか?』と行動計画に紐づいた質問をしてくれるようになります。スタッフの成長は、喜びを感じる瞬間の一つです。
今は外科マイスターの活動の一環として、都内にある研修施設で新卒看護師の教育を行うこともあります。最近は直接スタッフに技術指導を行うことが減っているので、新鮮な気持ちになりますね。
今の新卒看護師たちは、コロナ禍により実習を受けてない人もたくさんいます。数年前とは教育や指導の仕方を変える必要がありますが、みんな素直でかわいいな~と感じています。
様々なポジションでスタッフの教育指導に携わっているのですね。教育指導において、やりがいを感じる瞬間はありますか?
私が教育したスタッフたちが、他院で活躍していたりマネジャーなどのポジションでクリニックを支える姿を見られるのはとても嬉しいですし、やりがいを感じています。
今はチェッカーの教育がメインなので、これからはチェッカーのレベル感も少しずつ統一していきたいと思っています。チェッカーの教育で大切にしているのは、自分で気付く力。たとえば、指導方法がきついスタッフの指導にあたる際も、私がそれを指摘することはありません。あくまでも私は気付くためのヒントを与えることで、自ら気付き改善できるようにしています。
スタッフの教育を通して会社に貢献できるよう、引き続き邁進していきたいと思います。
二度の育産休を経て役職に再挑戦。大切にしているのは「無理をしない」こと
鈴木さんは二回育産休に入られたと聞きました。仕事とプライベートの両立、尊敬します!
ありがとうございます。二人の子どもを育てながらの役職業務と外科マイスターの両立なので、もちろん大変なこともありますよ。
今でも覚えているのは、一人目の育休から戻ったときのこと。育産休を取っている間に紙カルテから電子カルテに切り替わるという大きな変化がありまして、『ipadにカルテが入っているの?!」と完全に浦島太郎状態でしたね(笑)。
二人目の育休から戻ったときは、ちょうど今勤務している千葉センシティ院の開院の時だったので立ち上げでバタバタしていたことを覚えています。
SBCの歴史を感じますね(笑)。現在は時短勤務をされているのですか?
そうなんです。現在は時短勤務中なので、本当は役職には就かないつもりでいたんですよね。『時短勤務で役職は務まらないよなぁ』と思い、打診を受けても断っていました。
しかし、一般スタッフとして勤務する中で『これってもっとこうした方がいいんじゃないかな?』と思うことが増えてきたんです。経験が長い分『もっと効率的なやり方があるのに』ともやもやした気持ちが生まれてしまったんですよね…。
クリニックをより良くするためには、やはり役職に就かなければ、と思い時短勤務ながら再挑戦を決めました。
一般スタッフでは、対応できる業務の範囲が限られる、ということでしょうか?
一般スタッフでは与えられる情報や権限が少ないので、改善できないことが多いんです。それに戸惑いを感じるようになりました。判断するための情報を得ることができず、情報を得ても権限がないので実行に移すことができない。それならば、役職になってもっと根本からクリニックを支えていこうと決めました。
求めていただいていることも嬉しかったですし、もし無理なら一般スタッフとして頑張ればいいと思ったんです。
ライフステージが変わっても挑戦を続ける姿、とっても素敵です!
私が挑戦を続けられる背景には、支えてくれる家族や同僚の存在があります。家族は育児や家事に協力的なので、精神的にとても助かっていますね。
また、クリニックのスタッフも、私の退勤時間になると『鈴木さん、上がってください!』『あとはやっておきますよ!』と声をかけてくれるんです。主体的に動いてくれるスタッフが多いのでとても助かっています。
仕事とプライベートの両立にあたって、大切にしていることはありますか?
とにかく『無理をしないこと』!
クリニックには役職が私しかいないわけではないので、頼れる部分は頼るようにしています。もちろん、自分でやろうとしてしまう時もあるのですが、それだと毎日残業になってしまいますよね。今日中にできないなと思ったときは、周りのスタッフにできないとしっかり伝えた方が絶対うまくいきます。
プライベートでも同じですね。掃除や洗濯は毎日しなくても死ぬことはありません(笑)。周りの協力体制と、適度に力を抜くことがストレスなく仕事と向き合う秘訣かなと思っています。
最後に、鈴木さんの今後の目標を教えてください。
仕事もプライベートもこのまま安定させて、毎日生き生きと元気に暮らすことです!周りからは『安定して気分のムラがないね』と言われることが多く、これは私の強みだと思っているので。
後は、SBCで培ってきた経験と知識量には自信を持っています。経験と知識を活かしながら、スタッフの教育指導にも引き続き尽力したいと思っています。