人材を『集める』状態から、『集まる』状態へ
SBCメディカルグループ(以下SBC)の未来。その一つが、2050年までに1万院達成を目指すこと。(2021年10月時点で110院)まだ誰も成し遂げたことないような壮大な目標に向け「人材」の部分からアプローチを行うのが採用部である。どのようにすれば達成することができるのか、未だかつて前例がない採用活動に時田氏は奮闘している。
「飛行機では月に絶対にいけない。月に行こうと思うからロケットは開発できるんだよ。」という相川代表の言葉を胸に時田氏は、採用においても質と数の両方を担保しながらビジョンを達成するためには、今まで通りの方法では到底難しいと考えた。
「応募者が自然と集まる状態になるということが望ましいですが、目指している採用数があまりにも膨大なので、普通の採用とは一線を画した方法も確立していかないといけないのかなと思っています。また、人材の質においては、採用のブランディング・広報の強化が必要不可欠です。」
業界No.1として名高いSBC。一般的にも美容クリニック=SBCと答えてくれる人は多いだろう。しかし、「成長できる、働きがいのある企業=SBC」と答えてくれる人は100人中どれのくらいいるのかと考えたときにまだまだ不十分なのではないかと採用部は考えている。
美容業界のビジネス市場において、各クリニックの集客活動や顧客に対するマーケティング活動などを駆使することでさらに市場価値を高めていける余地がある。ただ、「世界一社会に貢献する伝説のメディカルグループ」になるためには、美容医療だけではなく新規事業の開拓も必要になってくる。そこで、ゼロからイチを生み出す優秀な人材の確保が欠かせない。
「競合相手をいわゆる美容・エステという同じ業界から、他業界へと広げていくこと。例えばベンチャーやスタートアップ企業を志望するような成長思考や目的志向の強いような人の視野にもSBCが入るようにしていきたいですね。」
そうした取り組みのなかで重要となってくるのが、ブランディングである。採用数は年々増加し続け、今後も今以上の大量採用が必要となっていく。そこで求職者を「集める状態から、集まる状態」へと変えていける環境づくりが鍵を握る。
2000年にSBCが開院したときに比べ、今や美容業界全体における美容クリニックの数は倍以上に増え続けている。利用者にとって選択肢が増えることはプラスに働くことが多いかもしれない。一方で、あらゆる競合の中からSBCを利用者に選んでもらうためには、大手だからという理由だけでは難しくなってきている。SBCでは何を提供できるのか、どのようなバリューを提供するのかということをしっかりブランディングして打ち出していくことが大事となる。そして、それは採用でも同じことが言える。
「オウンドメディアの充実はもちろん、媒体、エージェントなど採用においての経路を広げること、合わせて求職者に対してはSBCで働くことでどのようなメリットがあるのか?どのような価値観を持っているのか?どのような人たちがどのような仕事をしているのか? そのようなSBCの本質をより多くの人に見せていき、共感をしてもらうこと。そして働いてみたいと思ってもらうことが大切だと考えています。」
ビジネス市場だけではなく、採用市場においてもSBCの価値を高めていくことがSBCのビジョン達成に大きく関わってくる。
SBCメディカルグループの未来を担う採用部
採用数を決める場合、売上目標に対して生産性の指標がある。売上目標から生産性を割ることで目標達成のために確保しなければならないスタッフの数が見えてくる。それは考え方としては正しいが、時田氏は定量だけではなく、定性面からアプローチすることも大事だと考えている。
「SBCの大半を占めているのが美容医療の分野です。なので、美容が好き、美容を極めたい、お客様を幸せにしたいという考えを持つスタッフが必要。一方で、世界一のメディカルグループをつくりたいという理念に共感してもらう必要がある。今現場で活躍しながらも、10、20年後の未来を想像できる人材をどう採用するか。そこのバランスについてはよく考えますね。」
相川代表は常に10年、20年後と誰よりも先も見据えている。その未来へ向かうためにSBCの未来を担う人材を確保する方法として新卒採用への期待も大きい。
「新卒採用においてはポテンシャル採用となるので詳細なペルソナを設定しています。どういったスキルを持っていて、どういう考え方ができる人が必要なのかというところを毎年長い時間をかけてかなり細かく分解し、それが先天的なものなのか、後天的なものなのかを振り分けていきます。先天的なものに関しては面接や選考の中で見極めていますね。」
一方で会社のビジョン推進のことだけを考えていては現場の社員を置き去りにしかねないと時田氏は考える。例えば、皮膚科の売上が伸びていたとして外科に比べて客単価が低いため、外科と同等な売上を出すには必然的に利用者の数が増える。そうなると現場のスタッフの疲弊感が強まるということが起こる。そういった数字をみているだけでは見逃してしまいそうになる現場の状況を常に意識しているという。自身が現場で働いていた経験が長いからこそ、時田氏は現場の視点を忘れない。
「現場での状況を加味しながら採用数を考えられるのは現場の経験があるからこそだと思います。100%の充足にはなっていないが、現場のスタッフと話をしていくなかでコーポレートとの距離感が近くなっているという声や、現場の声が届いている感じがあるという声を実際にいただいています。」
エリアマネジャーとしてクリニックのマネジメントをしていた時田氏の経験は物事をマーケティング的な観点で考えるうえでも活かされている。「採用はマーケティングだ」という代表・相川氏の言葉をもとに、求職者は何を考えているのか、競合はどこなのか、SBCにしか提供できないものは何なのかというように、現場で常に求められていた3C分析を転換し採用においても役立てている。
採用においても生きている先客後利
SBCでは“まずはお客様を大切にすることで利益は後からついてくるもの”という「先客後利」という考え方がどの部署にも根付いている。それは採用部も例外ではない。新卒採用におけるインターンシップでは、これからの就職活動に必要となる自己分析をフォローし、自身がどういう道へ進むことで夢の実現に近づけるのかということを明瞭にできる場をつくっているという。
「SBCでのやりがいや良いところだけではなく、実際に働く苦労なども正確に伝えることは意識していますね。そのうえでSBCは違うと感じられたとしても、それは健全なマッチングだと思います。新卒採用でいえば、就職は結婚なんて言いますよね?会社にいる時間は家にいる時間よりも長い。なので、学生たちの未来をより良いものにしてあげたいという想いがあります。学生さんたちの人生を考えて採用活動を行っていく。そこにはSBCのDNAが宿っているように感じます。」
採用活動を繰り返していく日々の中で、目先のことに囚われてしまい採用部としての正確な判断ができなくなってしまうときもある。だからこそ、常にSBCの最終的な目的である「世界一のメディカルグループ」へ向けたビジョンに沿っているかということを立ち返る。SBCで働く人々は皆、お客様、働くスタッフ、社会により良い存在である「究極の3方良し※」の実現を本気で信じている。
2021年の1月からは人事部の中の部門であった採用業務が、採用部として独立した。採用部としての数字責任でいえば、入職後のミスマッチを減らすことや採用目標を必ず達成することが求められてくる。ただ、そういった視点だけでは数字だけをみていればいいということになってしまう。
「採用の成功の定義は、活躍と定着。ビジョンから逆算してSBCにマッチする人材を確保し、その人材が活躍するために必要な教育を提供する。さらに定着率を高める人事施策や制度をつくることは全て同時に必要となってきます。一気通貫していないといけない。なので、採用部として固執しすぎない幅広い考え方でビジョン達成に向け取り組んでいきたいです。」
まだ見ぬ壮大なSBCの未来実現に向けて、会社を担う「人材」の部分からアプローチをする採用部。正解が分からないからこそ、自分たちで正解をつくっていく楽しさややりがいを時田氏は感じながら日々、挑戦を続けていく。
※究極の3方良し…SBCメディカルグループのミッション。全スタッフの物心両面の幸福を追求すると共にお客様に最高・最良の美容・健康・医療サービスを提供し世界一社会に貢献する伝説のメディカルグループになる。